世界貿易機関(WTO)はブロックチェーン技術による国際貿易への影響に関するレポートを公表しました。
レポートでは、技術を様々な分野で展開する前に考えるべきブロックチェーンの応用や課題について分析していた上で、ブロックチェーンによって、2030年までに3兆ドルの貿易量の増加の可能性があるとしています。
世界貿易機関(WTO)とは?
貿易に関連する国際ルールの実施を行うと同時に新たな貿易課題への取り組む国際機関。
目的:自由貿易促進
設立日:1995年1月1日
常設事務局:スイスのジュネーブ
物流業界でのブロックチェーン
貿易金融や通関手続き、物流・運送といった業界へのブロックチェーン技術の影響が考察されています。
画像出典:WTOレポート
ブロックチェーンはサプライチェーンを改善できる可能性もあり、荷物の追跡や信頼性の証明が実現します。さらに、中小企業やマイクロ企業に新たな可能性が開かれる可能性もあります。
この一連の流れは、現在「信じる気持ち」で成り立っています。
もしかしたら…「とちおとめが半分枯れちゃった!他のイチゴを混ぜちゃえ」とか「この大粒のイチゴをとちおとめって書いて売ってみよう」ということが起きているかもしれません。(とちおとめが偽物だという趣旨ではありません。)
しかし、この一連の流れにブロックチェーンを使用し、正しく記録すれば、消費者は安心して商品を購入することができます。今回はイチゴで説明しましたが、農産物に限らず全ての商品に活用すべき技術です。
貿易コスト
研究では、以下の点において貿易コストを大幅に削減できる可能性がブロックチェーンにあると推定しています。
- 透明性の向上
- 金融仲介活動や為替レートのコスト調整
- 業務の効率化・自動化
ブロックチェーンによる障壁の撤廃により、今後10年間に1兆ドル規模以上の貿易が新たに生まれる可能性がある
と書かれており、ブロックチェーンがもたらす影響の大きさがうかがえます。
透明性や効率が向上すると…
複数の領域で知的財産権の管理を支援することが期待できます。
また、不正行為への対処や公共契約の管理も含め、政府の調達プロセスの強化も想定されています。
つまり、開発者が正しく利益を得られるということにつながります。
開発の際には、研究と努力を積み重ね、長い年月と開発費用がかかります。これをきちんと守る必要があります。
例えば、いちごの品種であるとちおとめやぶどうの品種シャインマスカットが、中国や韓国で勝手に栽培され、日本より安価に売られているのをご存知でしょうか?
これは、国際的な商標登録をしていなかったことが原因なので、「しなかったのが悪い」部分もありますが、私はとても悲しい出来事だと受け止めています。
こういったことをなくすことにもブロックチェーンは役立ちます!!
実装前に取り組むべき課題
ブロックのサイズがあらかじめ決まっているため拡張性が限られる点について研究者たちが指摘しています。
ブロックチェーンの技術的な問題
ブロックチェーンは非集中的かつ分散型の性質や暗号技術の活用により、これまでのデータベースと比べて回復力が高いが、従来のセキュリティ課題からまったく自由なわけではない。
ビットコインは平均で毎秒7個のトランザクション(取引)を処理し、イーサリアムはその2倍以上のトランザクション数を処理する。しかしVisaは毎秒2000個のトランザクションを処理でき、ピーク時には1秒あたり56000個のトランザクションを処理できる。
いくつもの規制当局をまたぐ場合の法的根拠は?
ブロックチェーンは国際貿易の洗練化につながる可能性があるが、洗練された貿易には洗練された標準化が必要となる。そして洗練された標準化は協力によってのみ成し遂げうる。ブロックチェーンの幅広い利用につながるエコシステムの構築に私たちが成功すれば、国際貿易の状況は10~15年で根本的に変わるだろう。
まだ解決しなければいけない課題がたくさんあるともレポートで伝えています。
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