金融庁が、マネーロンダリング・テロ資金供与防止のための体制整備状況や関連データを報告するよう命令していたことがわかりました。
対象は全ての金融機関
- 銀行
- 信用金庫
- 信用組合の預金取り扱い金融機関
- 仮想通貨交換業者 など
マネーロンダリング対策の向上を国際的に推進する金融活動作業部会(FATF)の第4次対日相互審査が今秋に開催されます。
しかし、一部の地域金融機関や仮想通貨交換業者は体制整備が遅れているため、早期の改善を促す方針です。
仮想通貨交換業者
報告命令は昨年12月、資金決済法に基づいて出されました。
金融庁は、マネーロンダリングの温床になりやすいと言われてきた暗号資産(仮想通貨)取引の実態把握に踏み込みました。
仮想通貨交換業者には、法人・個人の口座数、預かっている法定通貨、暗号資産(仮想通貨)の額のほか、匿名性が高いと認識している暗号資産(仮想通貨)について、保有する顧客の口座数の報告を求めました。
また、取引のある海外取引所の詳細のほか、ミキサー(もしくはタンブラー)と呼ばれる技術を使う顧客の2017年4月から2018年12月までの推移を報告することも求められています。
匿名性をさらに高める事ができる技術です。
暗号資産(仮想通貨)には、取引履歴が全てブロックチェーン上に残り、取引情報を誰もが確認できるという透明性が高い特徴があります。
匿名性がありますが、あくまで「ウォレットアドレスは個人情報に基づかない」という匿名性を持っているだけなので、個人情報と紐づいてしまうとプライバシーの観点で問題が起きる可能性があります。そのような事態を防ぐための技術です。
預金取り扱い金融機関
報告命令は昨年12月、預金取り扱い金融機関には銀行法などに基づいて出されたそうです。
200万円以上の現金取引の件数や金額、200万円以上の海外送金の件数、非居住者の口座数や預金残高といった定量データを3年分提出するよう求めています。
また、営業、コンプライアンス担当部署、内部監査部門の三層でマネーロンダリングを防ぐ体制が機能するための取り組みなどの定性情報のほか、マネーロンダリング対策に関する社内規程の違反発生状況と改善策も報告する必要があります。
金融庁の取り組み
金融庁は昨年3月以降、所管する事業者に順次、報告命令を出し、実態把握を行っています。
問題のある金融機関には立ち入り検査を実施しているほか、金融庁や各財務局の幹部が金融機関トップと面談し、意識改革を求めてきました。
金融庁の悩み
- 一般に流布しているひな形通りの対策を提出される
- 人員が不足で内部監査体制が不十分な事業者がある
- FATFの審査団が10月29日に来日する予定
FATFの審査団は、日本政府との協議で選ばれた一部の金融機関を11月にも訪問する予定です。
マネーロンダリングに関するリスクの特定や評価、その低減策と管理体制のほか、顧客管理の状況など幅広い分野について具体的かつ明確な説明が求められるようです。
報告命令の内容まとめ
仮想通貨交換業者
- 法人・個人の口座数
- 預かっている法定通貨の額
- 暗号資産(仮想通貨)の額
- 匿名性が高い暗号資産(仮想通貨)を保有する顧客の口座数
- 取引のある海外取引所の詳細
- ミキサーを使う顧客の2017年4月から2018年12月までの推移
預金取り扱い金融機関
- 200万円以上の現金取引の件数(3年分)
- 200万円以上の現金取引の金額(3年分)
- 200万円以上の海外送金の件数(3年分)
- 非居住者の口座数(3年分)
- 非居住者の預金残高(3年分)
- マネーロンダリングを防ぐ取り組み
- 社内規程の違反発生状況と改善策