FATF(金融活動作業部会)による暗号資産(仮想通貨)の規制ガイドラインが6月21日に発表予定であることが分かりました。
これは、暗号資産の監督法を明確化するためのもので、暗号資産取引所に対し銀行と同じような規制を設けるなど、市場への影響が注目されます。
マネーロンダリング(資金洗浄)対策における国際協調を推進するため設立された政府間機関。日本語で金融活動作業部会と呼ばれることが多い。FATFはビットコインを免許制にすべきであると主張している。
FATF、暗号資産の規制に乗り出す
海外暗号資産取引所も本人確認必須に?
FATFが求める3つのガイドライン
- 1000ドルまたは1000ユーロ以上の取引を行う顧客に関する情報の開示・収集
- 資金の受取人に関する詳細情報の収集(KYC紐付け)
- 収集した情報を受取人のサービスプロバイダーに提供(各取引ごとに実施)
こね子
ねこせん
新たな規制の対象には、コインベースやバインナンスといった暗号資産取引所や、暗号資産を扱う資産運用会社などが当てはまると考えられます。
現在海外の暗号資産取引所開設において本人確認は必須ではありません。
しかし、それが必須となった場合、暗号資産を禁止している国の人は市場に参加することができなくなり、取引所は顧客や流動性を失うことになります。
日本ではすでにウォレット事業者に対し顧客へ本人確認(KYC)を求める提案がされているのが現状です。
今回のガイドラインは、「顧客および取引情報を共有することで安全性の向上を図る」という観点から見れば正しい規制と言えるかもしれません。しかし、暗号資産の「匿名性」という特徴は薄まることになるでしょう。
2019/6/24 追記
6月22日朝、FATFがガイドラインを発表しました。内容はほぼ上述した通りのものであり、送信者・受信者ともに氏名やウォレットアドレスの提示が求められます。FATFはガイダンスの採用までに、各国に12か月(2020年6月まで)の準備期間を与えています。
それぞれの見解
今回のガイドラインが発表されるにあたり、暗号資産関連分野で活躍する方の見解をまとめました。
暗号資産リサーチ会社Messari社のディレクターEric Turner氏
FATFの勧告は、SECや他の規制当局よりもはるかに大きな影響を与える可能性がある。
ガイドライン発表後の各国の規制当局の判断によっては、暗号資産業界への影響は大きいと指摘しています。
取引所Bittrexの最高コンプライアンス責任者John Roth氏
ブロックチェーン技術の完全かつ根本的な再構築を行うか、あるいは世界中の200ほどの暗号資産取引所間でやりとりできる国際的な並列システムを構築する必要がでてくるだろう。
このように、顧客管理コストや技術的な問題を指摘する声が上がっており、例え規制が発表されたとしても実現には時間がかかるという意見が出ています。
暗号資産分析企業Chainalysisの政策責任者Jesse Spiro氏
規制の導入は大変なことかもしれないが必要なことだ。この業界にとって、ロードマップはそれほど面倒なものではない。
この分析企業には三菱UFJフィナンシャルグループも出資しており、規制環境が整備されることにより多くの金融機関などが暗号資産業界に参入するのではと長期的な視点で意見をしています。
まとめ
そもそも、中央集権的な力に支配されないのが暗号資産でありブロックチェーン技術であります。
規制が強まれば強まるほど、仲介者や管理者を必要としない個人間取引(P2P)やDEX(分散型取引所)の本領が発揮されることになるかもしれません。
規制等により一時的にこの市場が落ち込むとしても、必ず盛り返すと信じています✨
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